Department of Primary Care & Emergency Medicine

高気圧酸素治療センター

全国でも数少ない大型治療装置で重症例含め幅広く対応します

当センターは1967年に京都大学医学部附属病院に高圧酸素治療室として設立され、半世紀以上にわたり外科が担ってきました。2020年度からは初期診療・救急科が担当しています。1991年に、3.2m×7.7mの大型治療装置(多人数用)を新設し、中央診療棟地下に移転しました。2019年に制御装置を更新し、2020年には待合室・男女更衣室・診察室のリノベーション工事、トイレの新設を行いました。患者さんに快適に治療を受けていただけるよう高気圧酸素治療装置内にリクライニングチェアを導入し、感染対策としてディスタンスを保てるよう配置しました。2021年には治療装置のオーバーホールを終え、2022年度からは高気圧酸素治療センターとして生まれ変わりました。

高気圧酸素治療装置

最大収容人数14名(副室2名含む)の国内最大級の治療装置を擁していますので、京都府下のみならず近畿全域の救急疾患・災害疾患に対し、セーフティーネットとしての役割を果たしています。意識レベル・呼吸状態・循環動態などが不安定な重症例においても、大型治療装置内に医師付き添いのもとで安全面に配慮しながら治療を行っています。

当センターの特色

ヘリコプターが30分以内に搬送可能な半径100kmの円
ヘリコプターが30分以内に搬送可能な半径100kmの円

多人数用の治療装置は京都に2台、大阪に2台の4台しかなく、ヘリポートと2種装置を併設しているのは近畿では京大病院だけ。関西一円からの救急症例の受け入れが可能です。

治療適応疾患

高気圧酸素治療センターでは各疾患の担当科と連携しながら適応を判断し、安全で有効な高気圧酸素治療を行っています。適応となる代表的な疾患は骨髄炎(主に口腔外科)と突発性難聴(耳鼻咽喉科)ですが、緊急症例として一酸化炭素中毒、空気塞栓症、減圧症、放射線障害、ガス壊疽、腸閉塞などに対しても積極的に治療を行っています。疾患に応じて2.0~2.8気圧下で100%酸素を吸入いただきます。

治療適応疾患

高気圧酸素治療の作用

通常、Hbに酸素(O2)が結合して体内の隅々まで送られる。
また血液中に溶け込んでいる酸素(O2)もほんの少し(0.3 vol%)送られる。


高気圧酸素治療(2.8気圧)を行うと 6.4 vol%の血中酸素を体内に送ることができる。

治療件数

2020年度 2021年度 2022年度
病名 治療回数(回) 患者数(人) 治療回数(回) 患者数(人) 治療回数(回) 患者数(人)
顎骨骨髄炎 587 29 603 36 637 25
突発性難聴 15 1 58 4 176 13
下咽頭癌 15 1 15 1
出血性膀胱炎 95 2 77 5
難治性潰瘍 15 1 30 1 55 3
蜂窩織炎 20 1 22 1
下肢閉塞性動脈硬化症 10 2 8 1
網膜中心動脈閉塞症 3 1
脊髄損傷 5 2
間歇型CO中毒 17 1 5 2
急性CO中毒 5 3 7 6 11 5
低酸素脳症 63 1
空気塞栓症 2 1
減圧症 3 2 9 4
合計 740 38 827 61 1001 56

アスリート外傷に対する高気圧酸素治療

2023年7月10日より、アスリート外傷に対する高気圧酸素治療(自費診療)を開始しました。
スポーツによる軟部組織外傷(捻挫・打撲、靭帯損傷、肉離れ)が対象です。通常治療よりも高い2.5気圧の環境下で計90分の治療を3〜5回行います。高気圧酸素治療による損傷部位の低酸素環境の改善により組織治癒が促進されます。腫脹の強い受傷後3日以内に初回治療を実施することが望ましいとされます。受診のお申し込みはこちら

センター紹介動画

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