教授からのご挨拶
京都大学らしい新しい救命救急センターを目指して
~ 多様性輝く協創の場をつくる ~
京都大学医学部附属病院は、明治32(1899)年12月に京都帝国大学医科大学附属医院として開設以来、今年で創設125周年を迎え、これまで日本や世界の最先端の医療を担う病院として歩んで参りました。このような長い歴史を経て、令和6年4月、ついに京大病院は救命救急センターとして指定を受け、当院の高度急性期医療がいよいよ本格始動することとなりました。
当院は、ヘリポートが設置された2015年以降、災害拠点病院・原子力災害拠点病院の指定を受け、2019年には高度急性期病棟がオープンし、この間に救急搬送台数は年間6,000台を超えました。国立大学病院としては既に全国でもトップクラスの診療実績を誇る中、満を持して救命救急センターとして指定を受け、京大救急の新たな船出を迎えることとなりました。『世界に発信する高度先進医療』と『地域に根差した高度急性期医療』の両立を目指して推進していく所存です。
西日本全域に広がる関係病院とのネットワークにも支えられ、ここ京都大学には、急性期医療に関する臨床・研究・教育の全てが揃った大変恵まれた環境が整いつつあります。自由と自主性を重んじる京都大学の校風のもと、初期診療・救急科には多様な専門性を有し、優しさと熱意に溢れた個性豊かなメンバーが集い、京大病院における高度急性期医療の扇の要として活躍しています。〝One for All, All for The Patient !!〟を合い言葉に、多様なスタッフの個々の輝きが織り成し、全体として素晴らしいハーモニーを奏でられるよう、ONE TEAMで邁進しています。
本邦の救急医療は、コロナ禍を乗り越えた今日、超高齢社会を背景に、気候変動や頻発する災害、次なる新興感染症パンデミックの危険性、テロや様々な国際紛争の脅威、さらには医師の働き方改革など、時代の流れと共に次なる課題への挑戦と自らの変革とが求められています。しかしいつの時代も変わらないのは、常に医療の最前線で人々の健康と暮らしを守る『医の原点』としての存在です。時代のニーズにあった新しい救急医療と救急医像を模索し、次世代の救急医療のリーダーを生み育てられるよう努めて参ります。決して変化を恐れることなく、京都大学らしい創造性豊かな新しい救急部門を目指し、仲間と共に成長し発展できることを、心より願っております。
大鶴 繁