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第5回京都トラウマネットワーク(KTN: Kyoto Trauma Network)が7月16日京都大学第1臨床講堂で開催されました。  

講座だより

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 第5回京都トラウマネットワーク(KTN: Kyoto Trauma Network)が
7月16日京都大学第1臨床講堂で開催されました。
講師 佐藤 格夫

京都トラウマネットワーク 
京都において外傷診療の質の向上を図るため、外傷診療に携わる人々の連携をすすめることを目的に “Kyoto Trauma Network”が平成21年7月に設立されました。
“Kyoto Trauma Network”は、単に学術的な交流にとどまらず、将来的には人的交流をも視野に入れた、 できるだけ開かれたものとしたいと考えています。施設の特性により、治療方針が異なることもあり、 それも含めてFree Discussionが出来ればよいなと思っています。結果でしかその時の治療判断を評価出来ないこともありますが、 迷った症例、難しい症例を皆が共有することで、最終的に外傷患者に対してよりレベルの高い治療が遂行出来るようになると考えます。

今回も京都市内の救命救急センター3つ全てからの参加、京都市内の救急病院からの参加となりました。

1症例目

京都第一赤十字病院救急科の小田和正先生から症例検討に適する難症例をプレゼンテーションして頂きました。 救命出来ない悔しさを第2日赤のみならず、その場にいないかった会場の皆も痛感しつつ、救命のためのStrategyを皆で協議しました。 外科医からの視点、IVRからの視点など熱いDiscussionでした。京都第2赤十字病院の飯塚センター長から各救急部外科系医師に「このCTを見たときに、 どのような心構えで手術に臨むか?」という質問と自分ならこうする・・という意見が飛び交いました。

途中、オクラホマ大学のER医Dr. Charlieからオクラホマでの現状を少し話してもらいました。血圧を上昇させすぎない輸液量のことや、 輸血1:1:1の有効性などの話題が出ました。IABO(Intra Aortic Balloon Occlusion)はDr. Charlieの施設では使用していないとのことです。 

2症例目 

第2岡本病院の外科から二木元典先生からやはり症例検討に適する、転落による重症体幹部外傷の1例をプレゼンテーションして頂きました。 胸部外傷、骨盤骨折両方からの出血が認められ、血圧50mmHg台となった時・・・Decision makingの難しさをDiscussionしました。 開胸手術に踏み込む際の適応や体位、緊急開胸手術における胸部のDamage Control Surgeryなどに話の焦点が集まりました。

どちらの症例も、各救命救急センター、救急病院の実際にDecisionをする先生方が意見交換・・・というよりはマイクを使わずに地声での討議となりました。
1症例に気がつけば60分を費やしていました。 症例検討の後は重症外傷患者のStrategyに入ってくるIABOに関する各施設での使用適応や使用に関する注意事項、合併症など詳細な部分まで意見交換をしました。

懇親会には京大研修医で外傷に興味のある岡村先生、佐藤先生、播磨先生たちも参加して、京都の暑い夏と同様に、熱く盛り上がった研究会となりました。
「京都の重症外傷患者はここにいる俺たちが助けるんだ!!」といった意気込み・皆の共通コンセプトが強くあふれ出ていました。

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