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Dr Maedaのニューヨーク奮戦記(14)

講座だより

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Dr Maedaのニューヨーク奮戦記(14)

10/2018

「Pulmonary – 呼吸器内科」

今回はアメリカの呼吸器内科についてです。Pulmonaryは直訳すると「肺の」という意味ですが、こちらでは「呼吸器内科」とほぼ同じ意味で使われます。ただし日本の呼吸器内科とは守備範囲が若干違います。肺癌の化学療法はMedical Oncology (腫瘍内科) が主役で、呼吸器内科は診断をつけるところまでです。一方でPE (肺塞栓症) や肺高血圧症はCardiology (循環器内科) ではなくPulmonaryの疾患という認識が強いです。

よくあるのは気管支喘息の重症例で、Primary Careで手に余る場合はPulmonaryに紹介となります。COPDも同様です。基本的に日本と同じ薬が使われています。butesonide-formoterol (Symbicort), tiotropium (Spiriva), albuterol (Ventolin), ipratropium (Atrovent), montelukast (Singulair) などです。気管支喘息に対する奥の手としてはomalizumab (Xolair) やmepolizumab (Nucala) といった生物学的製剤がありますが、使用は専門家に制限されています。重症COPDにはPDE-4阻害薬であるroflumilast (Daliresp), マクロライド系抗菌薬のazithromycin (zithromac) を使うことがあります。また夜間NIV (noninvasive ventilation) を使う場合もあります。いずれも増悪に対してはステロイド (こちらではprednisoloneではなくprednisoneが主流) と、Duonebというalbuterolとipratropiumの合剤がネブライザー用にあり、好んで使われています。
PEは日本と比較してかなり多い印象で、人種、生活習慣、肥満、経口避妊薬の使用など多くの要因があると思います。PERT (Pulmonary Embolism Response Team) というPulmonary、Cardiology、Interventional Radiologyの合同チームがあり、CDT (catheter-directed thrombolysis) などの高度な治療の必要性を素早く判断します。

日本に少ない疾患としては、なんといってもCystic Fibrosis (嚢胞性線維症) です。CFTR遺伝子変異により全身の粘膜におけるCl-イオンと水の輸送が障害され、胎便性イレウス、繰り返す呼吸器感染症、膵外分泌不全などの症状を呈します。DNase (Dornase alpha) 吸入、膵外分泌酵素 (Creon) 補充、tobramycin吸入がおもな薬物治療で、これに加えて肺理学療法、Vestという振動する機械で喀痰排出を強力に促します。
もう1つはOHS (obesity hypoventilation syndrome, 肥満低換気症候群) で、BMI 50越えの患者さんでは高頻度に見かけます。肥満の多いアメリカでは非常に重要な疾患です。だいたいOSA (閉塞性睡眠時無呼吸症候群) を合併しているので、夜間NIVで治療します。診断がつくときにはすでに肺高血圧症、右心不全、場合によってはほかの肺疾患まで合併していて急性呼吸不全でMICUに入院というパターンも結構あります。大変です。

今月はCHESTでポスター発表をして来ました。場所はテキサス州サンアントニオで、1836年のテキサス独立戦争で重要な戦地となったのが写真のアラモ砦です。テキサスは共和国としてメキシコから独立、のちにアメリカに併合されることになります。

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