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Dr Maedaのニューヨーク奮戦記(6)  

講座だより

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Dr Maedaのニューヨーク奮戦記(6)

「医師の労働環境とNight Float」

日本の研修医には救急やローテーションしている科の当直勤務があって、日勤後そのまま翌朝まで働き、次の日もまた夕方まで働く、というのが多いのではないかと思います。私自身も初期研修のときにほとんど寝られない救急当直のあと、なんとか時間を見つけて仮眠し、翌日の病棟勤務を行っていたことがあります。単純な肉体的疲労だけでなく、思考力の低下も明らかで、医師の労働環境は患者・医師の双方にとって重要だと感じていました。
アメリカでも医師は依然として長時間労働が多い職業として捉えられているようですが、レジデントの労働時間はACGME(Accredited Counsil of Graduate Medical Education)の規定によって連続24時間まで、週80時間までに制限されています。これを実現するべく多くの病院でNight Floatという夜勤チームが病棟をカバーするシステムが導入されています。Mount Sinai Beth Israelでは夜の8時になると日勤チームのうちLong Callとして残っているレジデントから引継ぎが行われ、朝7時まで病棟患者の継続した管理、救急外来からの緊急入院を担当することになっています。2週間連続のNight Floatの期間中は昼夜逆転生活となりけっこうハードですが、日勤チームは当直で疲れ果てることなく1週間働き続けることができます。レジデントを多く雇っているからできるシステムですが…。
余談ですが、上記のルールを最初に導入したのはNew York州です。1980年代に36時間連続労働を行っていたレジデントによる治療に関係して患者が亡くなったという事故があり、医療安全に対する関心が高まったのがきっかけのようです。
https://en.wikipedia.org/wiki/Libby_Zion_Law

 

NYでは大寒波が襲来し、今月初めは雪で通勤も大変でした。京都も大雪があったようですが、気を取り直して今年もぼちぼち頑張っていきましょう!

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