About Acute Care Physician
救急科専門医について
京都大学救急科専門研修プログラム
京都大学医学部附属病院初期診療・救急科では「京都大学救急科専門研修プログラム」による救急科専門医の養成(後期研修)を行っています。
ここでは同プログラムおよび当科での後期研修の特長についてご紹介します。
キーワードは「多様性」と「自由」
救急医療は、「ER」「救命救急」「集中治療」「外傷診療」「プレホスピタル診療」「災害医療」「原子力災害医療」「特殊感染症診療」「プライマリケア」「市民教育」「メディカルコントロール」「救急関連サブスペシャリティ」などなど、非常に多様な内容を含有しています。救急医にはそれぞれの分野に最低限必要な素養が求められますが、将来的に各分野の中のどれをどの程度の専門性で自身の生業としていくのかは一人ひとり異なります。
当科プログラムは各専攻医を画一的に敷いたレールに乗せるのではなく、多様な希望を叶えるべく、専攻医が将来的に目指す医師像を実現させる研修プランを一緒に考えます。
また、サブスペシャリティとして他科とのダブルボードを視野に入れた研修の希望にも対応し、「救急3年→他領域3年」「他領域3年→救急3年」「救急1または2年→他領域3年→救急2または1年」といった様々なバリエーションにも対応可能です。他領域研修については京大の他科と連携してプランを組むことも可能です。
多様性と自由を重んじる京都大学の潮流そのままに、まさにテーラーメイドの救急科研修を提供できます。
ひとたび大学医局に「入局」すると、大学院進学やお礼奉公的大学病院勤務などその後の人生を束縛される印象があるかもしれませんが、当科はそのような無理な束縛はいたしません。後期研修終了後の進路も相談しながら決めていきます。
「君のあしあとが道になる。」先例がないことを理由にみなさんの夢を閉ざすような医局ではありません。実際、これまでの先輩専攻医たちは「留学」「ダブルボード」「開業」「厚労省医系技官」「法曹とのダブルライセンス」などなど極めて多様な将来の希望があり、私たちはそれを実現すべく協力して研修プログラムを組んでいます。
充実の救急症例
大学病院では、症例数が少なかったりcommon diseaseが来なかったり、十分な症例を経験できないのではないかと思われるかもしれません。
京大病院は全国の国立大学病院の中でもトップレベルの救急車台数を誇り、1次から3次、common diseaseから特殊疾患まで、豊富な症例を経験できます。
バラエティに富んだ多くの症例を診療する中で、あらゆる病態に対応する能力を養うと共に、専門医として必要な手技をon the jobで経験・習得できます。
充実の指導医陣
当科にはさまざまなサブスペシャリティを持ったメンバーが揃っています。
救急科専門医 11名をはじめ、総合内科専門医 5名、外科専門医 2名、麻酔科専門医 1名、集中治療専門医 5名、ほか消化器、循環器、呼吸器、腎臓、肝臓、神経、IVR、感染症、血液浄化などなど、単一の診療科でこれほど多彩な専門医資格を抱えているのは全国的にも稀少な存在です。救急部門にいながら、各領域の高度に専門的な知識・技量を習得できるのは京大救急の大きな特長です。
「京大の救急って歴史も浅いし、知名度も低い。そんなところで十分な指導を受けられるの?」と疑問に思われるかもしれませんが、ご心配ありません。現在いるスタッフの多くが過去に救命救急センター勤務歴があり、そのノウハウを多く持ち寄って京大の救急を立ち上げてきました。いわば、全国の有数の救命センターの美味しいとこ取りをできるのが京大救急です。
また、時には海外から講師が来て指導してくれるのも、市中病院では難しい、京大救急ならではの経験だと思います。Brown大学の南太郎先生、Rochester大学の前田徹朗先生(当HPで手記連載中!)が来日の際に当科に訪問され、講演や直接指導を堪能できます。
充実の連携施設
連携施設は近畿圏を中心に現在21施設あります。どの施設も地域の救急医療を担う重要な役割を果たしており、それぞれに特徴があるため、「ER中心に研修したい!」「重症外傷をたくさん診たい」「ICU管理ができるようになりたい!」「小児救急を身に着けたい!」「Prehospitalを経験したい!」などなど、専攻医の多様な研修内容の希望に適した施設が揃っています。
基幹施設に縛り付けるようなことはしません。専攻医の希望を叶えるべく、ご一緒に相談しながら連携施設での研修をアレンジし、救急医に必要な素養をトータルで習得できるカリキュラムを準備します。
京都府
- 京都大学医学部附属病院(基幹)
- 国立病院機構京都医療センター
- 京都第二赤十字病院
- 京都第一赤十字病院
- 洛和会音羽病院
- 京都市立病院
- 京都岡本記念病院
- 京都桂病院
- 宇治徳洲会病院
大阪府
- 北野病院
- 大阪赤十字病院
- 大阪府済生会野江病院
滋賀県
- 大津赤十字病院
- 済生会滋賀県病院
- 滋賀県立総合病院
兵庫県
- 神戸市立医療センター中央市民病院
- 兵庫県立尼崎総合医療センター
- 国立病院機構姫路医療センター
- 公立豊岡病院但馬救命救急センター
その他
- 日本赤十字社和歌山医療センター(和歌山県)
- 倉敷中央病院(岡山県)
- 愛媛大学医学部附属病院(愛媛県)
充実の教育プログラム
標準化された教育プログラムに則った研修を行っています。
1.救急・集中治療勉強会
専攻医教育担当者により、週1-2回、勤務開始前の30分間の勉強会で救急・集中治療の基礎知識を習得します。勉強会は『重症患者管理マニュアル』(https://store.isho.jp/search/detail/productId/1804940150)の抄読をベースに進行しますが、独自資料や動画を活用して様々な知識を効率良く学べるように工夫しています。
2.手技シミュレーション
教育に関するインフラが多く整備されているのは大学病院の大きな強みです。
総合臨床教育・研修センターに数あるシミュレーション機器を活用して、勤務時間内に一定の時間duty freeとして、実臨床に則した様々な救急手技(とくに救急科専門研修カリキュラムに挙げられている手技)のシミュレーションを行う時間を確保しています。
3.献体を用いた救急手技研修
京都大学解剖学教室クリニカル・アナトミー・ラボ(clinical anatomy lab, CAL)の協力を得て、年1回程度ご遺体を用いた救急手技研修を行っています。
ご遺体は通常の解剖実習用の固定に用いられる量よりも少ない量のホルマリンを用いるThiel法によって固定されており、実際の人体に近い感覚で手技を経験することができます。
実臨床では時間の制約があり(特に救急では急を要する)失敗が許されない状況での手技の指導は不十分になりがちですが、この研修では手技の中の一つ一つの操作を丁寧に指導できます。
充実の学会活動支援
専攻医には原則として、日本救急医学会総会・日本集中医学会学術集会には演題を提出して発表する機会を作ります。発表の際は経験豊富な指導医が抄録作成・スライドやポスター作成・プレゼンテーションを丁寧に指導し、予演会で発表をbrush upします。
上記2学会の期間はduty freeとして学会に全参加いただけるようシフトを調整します。学会参加費・交通費についての補助もあり、積極的に学会参加を支援します。
上記学会の地方会・日本臨床救急医学会・その他の救急に関連した学会でも発表できます。学会発表を通じて、学術活動の基礎を形成することができ、また学術実績を獲得できます。
各専攻医に寄り添ったトータル支援
研修中は楽しいことばかりではなく、大変なことも多いです。研修に関することのみならず、公私でさまざまな悩み事を抱えることもあるでしょう。当科には専攻医教育担当者(現在は角田特定病院助教)がおり、常に専攻医からの要望や相談の窓口となっているほか、教授以下全ての指導医が専攻医を見守り、気軽に相談できる雰囲気を作っています。研修に関することはもちろん、家庭の事情(育児や介護など)等にも配慮し、できるだけストレスなく研修できる環境づくりに努めています。
当科プログラムの専攻医となったみなさんは、私たちの大切な『仲間』です。仲間の喜びは一緒に喜び、仲間の頑張りはみんなで讃え、仲間が困った時には手を差し伸べる、当たり前のことですが、そんなアットホームな雰囲気が常にあるのが京大救急科です。
みなさんも私たちの仲間になりませんか?