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院外心肺停止患者における近赤外線による無侵襲脳局所酸素飽和度(rSO2)測定の有用性に関する研究 (J-POP registry)を開始しました

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 院外心肺停止患者における近赤外線による無侵襲脳局所酸素飽和度
(rSO2)測定の有用性に関する研究(J-POP registry)を開始しました
講師 西山 慶

院外心肺停止患者における近赤外線による無侵襲脳局所酸素飽和度(rSO2; Regional Cerebral Oxygen Saturation)測定の有用性に関する研究 (J-POP trial, UMIN000005065)を開始しました

【背景】
“Chain of survival”に代表される心肺蘇生法により、OHCA患者の予後は大きく改善しています。 また、近年、自己心拍再開後の“Post cardiac arrest syndrome”における低体温療法・経皮的人工心肺装置を用いた心肺蘇生法 (ECPR; Extracorporeal Cardio Pulmonary Resuscitation)・緊急冠動脈形成術(PCI; Percutaneous Coronary Intervention)などの先端的治療法の実施により、 OHCA患者に対し良好な臨床成績が認められたことが報告され、大きな注目を集めています。
一方では、“Post cardiac arrest syndrome”に対する医療の社会的・経済的な負担は極めて大きく、重大な社会問題となっています。 しかしながら、OHCA患者への信頼性の高い予後予測法が無いため、“Post cardiac arrest syndrome”における先端的な治療法の適応は未だはっきりしておらず、 このことがこれらの治療法の普及を遅らせていると指摘されています。近年発表された“Post cardiac arrest syndrome”に対する提言や心肺蘇生法に対するガイドラインにおいても、 OHCA患者への診療という極めて緊急性の高い臨床現場における、即時性がありかつ信頼性の高い予後予測法の必要性が強調されています。
脳機能は酸素需要と供給のequivalentに依存し、低酸素血比率が上昇すると障害が進行することが知られています。脳における低酸素血比率は、 低酸素血により多く吸収される近赤外線(NIRS)の特徴を利用し、rSO2値として、 近赤外線分析装置(In Vivo Optical Spectroscopy: INVOS®)を用い前額部に貼布したセンサーから非侵襲的・リアルタイムかつ定量的に測定することが可能である。 このようにrSO2値計測は即時的で侵襲性のない侵襲性のない脳循環評価法であり、現在まで主として心臓麻酔領域での脳保護目的のモニタリングとして用いられてきました。


読売新聞 2011.1.12 夕刊

このような背景のもと、今回、新たに多施設コホート観察研究を行い、OHCA患者におけるrSO2と神経学的予後との関連性を解析し、従来その予後予測が困難であったOHCA患者に対するrSO2計測の有用性を検討することを計画しました。 【参加予定施設(あいうえお順)】
・大阪府済生会千里病院 (主任研究者 伊藤 賀敏先生)
・大阪市立総合医療センター
・大阪大学
・京都大学
・京都医療センター
・慶應義塾大学
・小倉記念病院
・済生会横浜市東部病院
・札幌医科大学
・駿河台日大病院
・福岡大学病院

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