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Dr. Maedaの呼吸器集中治療科フェローシップの記録 (30)
講座だより
Dr. Maedaの呼吸器集中治療科フェローシップの記録 (30)
12/2022
「Neuromedicine ICU」
10月いっぱいはNeuromedicine ICUのローテーションでした。以前も取り上げましたが、SMHはUpstate New York最大の高度医療施設であり専門分化したICUを複数持っています(Medical, Surgical, Cardiac, Burn/Trauma, Neuro)。Pulmonary / Critical Care MedicineのプログラムはICU研修の大半がMICU (Medical ICU) であるため、急性呼吸不全をはじめとした内科系の経験は豊富にできますが、それ以外の分野の症例が不足することが欠点です。Neuromedicine ICUを仕切っているのはNeurology (脳神経内科) をバックグラウンドとしてNeurocritical CareのFellowshipを行ったAttendingのことが多く、一緒にローテ―トしていたFellow達も皆Neurologyの出身、これにNeurology, Neurosurgery (脳神経外科)、Anesthesiology (麻酔科)、Emergency Medicine (救急科) のResidentとAPP (Advanced Practice Provider: Physician Assistant と Nurse Practitioner)、そしてMICU Fellow (私) を加えた混成チームで診療をしていました。Neurocritical Care Fellowが主役のため、私は内科・呼吸器的な問題について助言したり、Residentと同様に主担当医として数名の患者の診療にあたっていました。
Neuromedicine ICUの入室は多くが重症脳卒中または脳神経・脊髄手術後の患者であり、内科・呼吸器・MICUの研修を通じて専門科に頼り切りだったマネジメントについてよい勉強になりました。最初の週はepidural abscess (硬膜外膿瘍) による頚髄圧迫の手術後の患者を担当し、術後5日間のMAP > 85 mmHgという耳慣れない治療目標を目指して血管収縮薬を使いました。aSAH (aneurysmal subarachnoid hemorrhage: 動脈瘤性くも膜下出血) の管理をするのは初めてで、超急性期の血圧コントロール、flow diverting stent後のDAPT (dual antiplatelet therapy)、EVD (external ventricular drain) による水頭症の管理、Euvolemiaを保つための輸液、Nimodipine、TCD (transcranial Doppler) による脳血管攣縮の予防・モニタリングなど、MICUにはないコンセプトを学ぶことができました。出血性脳卒中は少な目ですがCerebral amyloid angiopathy, AVM (arteriovenous malformation) などを背景とした症例が結構あり、nicardipineによる降圧をメインに管理します。虚血性脳卒中に関してはtPA投与後の患者に加え、最近増えてきているendovascular embolectomy (いわゆる血管内治療) 後の症例も多く、多くは施設のプロトコルに沿って画像検査、Physical / occupational therapist (理学・作業療法士)、Speech language pathologist (言語聴覚士) による評価などを進めていくのと、いつheparin皮下注を開始するかなどをneurosurgeryの術者と細かく連携しながら決めていきます。中にはIntracranial hypertension (頭蓋内圧亢進) やStatus epilepticus (てんかん重積) を合併する症例もあり、高張食塩水や抗痙攣薬などの使い方も復習できました。院内外で発生した心肺停止蘇生後の症例にもNeuromedicine ICUが基本的にコンサルトに入ってTTM (targeted temperature management) の管理と神経予後の推定を行っており、これについては改めて書きたいと思います。4週間でマスターするのは難しく、むしろ脳神経系の専門科のバックアップがあることが一番重要という結論に至りましたが、定期的に知識をリフレッシュしてある程度は自分でも対応できるようになりたいと思います。
郊外のショッピングモールにたまに行くのですが、爪楊枝を使った建築物の創作が展示してあります。NYCやイタリアもありました。