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Dr. Hiraoのハワイ奮戦記(5)
講座だより
Dr. Hiraoのハワイ奮戦記(5)
今回はアメリカでの研修における評価について書かせてもらおうと思います。
レジデンシーの間には日本と同様に、様々なローテーションがあります。ホスピタリストとしての入院病棟のブロックが一番多く、ハワイでは一年目に4週間のブロックが6個あります。その他、外来、ICU、エレクティブ(選択)など、4週間のブロックから2週間のブロックがあります。
この毎回のローテーションごとに一緒に働いた指導医の先生から評価されることになります。例えば入院病棟のローテーションでは、以下のような項目から多角的に評価されることとなります。(一部抜粋)
- 複雑な患者の病歴と身体所見を聴取し、仮説に基づいて実施し、簡潔に報告する。
- 入院が必要な患者の鑑別診断を行い、優先順位をつける。
- 各患者の包括的な管理計画を作成し、実施する。
- 追加の指導を求めるべき時期を認識する。
- 患者の急性期および慢性期ケアを管理するために電子カルテを効果的に使用する。
- 入院が必要な病態の診断と治療に十分な知識を示し、統合する。
- 一般的な診断検査(臨床検査値、心電図、胸部X線)と高度な診断検査(高度な画像診断)の適応と基本的な解釈を理解する。
- 患者中心の安全なケアを確保するために、専門職間チーム内のメンバーとして効果的に働き、エラーのリスクを高めたり、最適なケアの障壁となる医療システムの力を認識する。
- 外来、亜急性期、急性期、リハビリテーション、療養病院など、複数の医療提供システム間およびシステム内でのケアおよびケア移行を管理・調整する。
- さまざまな支払いシステムを含む医療制度の主要な構成要素が、患者のケアにどのような影響を与えるかを説明する。
- 複雑な患者のケアにおいて、利用可能な最善のエビデンスを批判的に評価し、患者の嗜好と統合して適用する。
- 矛盾や倫理的ジレンマがある場合、患者の嗜好や適用可能性に基づき、個々の患者のニーズを効果的に提唱する。
- チームのメンバーに対してプロフェッショナルな態度で接し、複雑な状況やストレスの多い状況でも冷静さを示す。
- 複数の競合する要求に優先順位をつけ、タイムリーかつ効果的な方法でタスクと責任を完了する。
- ケアプランを医療チーム全員に効果的に伝える。
以上の項目に加えて、良かった点および悪かった点の評価があり、最終的にそのローテーションの評価が10段階でされます。ここでの評価が悪かった場合にはもう一度そのローテーションをやり直さなければなりません。(残念ながら毎年この評価をもらうレジデントがいます。)そうなった場合にはレジデンシーの期間が延長となります。日本では真面目に働いていると研修が延期になることはほぼないと思いますが、アメリカではレジデントの求められている仕事の基準に満たない場合は容赦がないです。このように日々の仕事が常に評価されているのはかなりのストレスです。また、日本では考えられないのですが、アメリカではレジデントも指導医の評価をします。ここではレジデントが指導医が適切にレジデントと働いているかなどの評価を行い、ここで不適切と判断されると指導医から外されることとなります。日本では上級医の先生を評価するということはほぼありませんが、アメリカでは指導医になっても下からの評価されることとなります。
ワイキキから車で一時間ほどかかるノースショアで有名なTed’s Bakeryのチョコレートクリームパイ。アメリカのケーキは砂糖が多すぎて食べるのがしんどいものが多いですが、ここは日本人の口にもあうのでおすすめです。