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Dr Maedaのニューヨーク奮戦記(5)  

講座だより

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Dr Maedaのニューヨーク奮戦記(5)

「MICU」

アメリカの内科臨床研修プログラムではMICU (Medical Intensive Care Unit 内科集中治療室、「ミキュー」と読みます) のローテーションが必須となっています。病院によって様々な形態がありますが、各科管理のことが多い日本とは異なりアメリカではclosed ICUが主流のようです。Closed ICUではintensivist (集中治療医) が主治医としてすべての患者管理を行うことになっています。MICUのintensivistは多くが内科出身者で、3年の内科研修のあとにpulmonary/critical care (呼吸器・集中治療科) のfellowshipを3年間行って専門医資格を取得しています(外科・麻酔科・救急科出身のintensivistも存在します)。日本では麻酔科・救急科が集中治療を担っていることが多いのでこれは大きく違うところです。我々内科レジデントはintensivistとfellow (専門研修医) の指導下でMICUに入室中の患者さんの管理を行います。

 

MICU入室対象は循環器系疾患以外の内科重症患者すべてで、central line, arterial lineによるモニタリングやnorepinephrine, diltiazemなどの持続静注、NIV (noninvasive ventilation), HFNC (high flow nasal cannula) を含む呼吸管理、緊急血液浄化療法、その他close monitoringが必要な患者となります。具体的にはSepsis, 急性呼吸不全(COPD増悪、重症喘息発作等)、DKA (diabetic ketoacidosis)、重症電解質異常(Na, K等)、急性薬物中毒・離脱などです。CCU (coronary care unit) のローテーションも別であるので循環器集中管理も経験できますが、SICU (Surgical ICU)、NICU (Neuro ICU) などは内科の研修プログラムには通常含まれていません。

 

Mount Sinai Beth IsraelではMICU internの役割は朝の回診でプレゼンテーションをすること、日中はスタッフステーションに常駐し患者さんの状態に変化があればMICU team (resident, fellow, attending) に報告し対応することです。ほかに家族への簡単な病状説明、各科へのコンサルテーション、ABG (動脈血ガス) の採血、カルテ記載 (プログレスノート、引継ぎ) なども行うので病棟同様忙しいです。挿管、central lineなどの手技はfellowやresidentが優先的に行うのでなかなかinternが行うことはありません。

 

ちなみにICUにおいてhigh-intensity staffing (closed ICU, あるいは mandatory intensivist consultation (集中治療医が主治医ではないが必ずすべてのICU患者の治療にかかわる)) はlow-intensity staffing (elective intensivist consultation (主治医が必要と判断した場合のみ集中治療医にコンサルトする)、あるいはno intensivist (集中治療医がいない)) と比較して病院・ICU死亡率および入院・ICU入室期間を減らすことを示した研究があります [JAMA 2002;288:2151-62]。Closed ICUが本当にいいかどうかはさておき、日本と比べるとICU病床数や集中治療医の数も多く、集中治療を専門としない内科医でも皆が集中治療医の考え方に触れられる点はよい研修制度だと思います。

 

写真はMidtown EastにあるGrand Central Terminal内。郊外へ向かう列車の発着点であり、いつも人が集まっています。

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