About

Dr. Maedaの呼吸器集中治療科フェローシップの記録 (25)

講座だより

Tap here to navigate

Dr. Maedaの呼吸器集中治療科フェローシップの記録 (25)

7/2022
「Research and Education in Fellowship」

Fellowshipも3年目、最終学年になりました。11月にはPulmonary Disease (呼吸器科) の専門医試験があり、試験勉強にも力を入れていかなければなりません。研究メインだった2年目と比べると増えて4か月+毎週の呼吸器科外来、気管支鏡の当番で一年の半分程度は臨床業務に割くことになり忙しいですが、研修医生活にも区切りがつくのでしっかり学びを深めて終わりたいと思っています。

日本でもそうですが、大学病院や大きな市中病院で働く場合は臨床業務だけでなく、研究や教育も重要な責務になります。臨床・研究・教育の鼎立が難しいのは米国でも同じで、俗に ”Triple Threat” といわれるようです。Residencyと比べて、Fellowship Program(とくに、大学病院のプログラム)ではElective (選択期間) が多く設けられており、University of Rochesterでは3年間のうち12か月以上が自分のプロジェクトに割けるProtected Timeとなっています。中にはひたすらMoonlighting (いわゆるアルバイト) に精を出すフェローもいますが、基本的には臨床、Translational、または基礎研究のプロジェクトをAttendingの監督下に行い学会発表、論文化することが目標です(何らかの学術活動をすることがFellowshipの卒業要件にもなっています)。プログラムによってやり方は様々と思いますが、Rochesterのプログラムは喘息、肺高血圧症、間質性肺疾患、敗血症などの分野でgrant (研究費) を持って研究をしているAttendingがいるので、自分でコンタクトを取ってミーティングをし、時間的に可能なプロジェクトを組むことになっています。米国民でないと対象になりませんが、NIHのtraining grant (T32 award)を利用して場合によってはFellowship を延長して研究を行うフェローもいます。COVID関係で研究室が使えない時期があったり、研究費の制約があったりして思うようにいかない場合もたくさんありますが、比較的恵まれた環境だと思います。私はCOVIDと、結核に関するプロジェクトをやらせてもらっています。IRB proposalを一から書いたり、様々な部署とやり取りしたりしてなかなか思うように進まない時期もありましたが、来年のATS (American Thoracic Society) を目標にもう少し頑張る予定です。

教育面では、フェローの研修の監督を行うFellowship Program Directorは役職として確立しており、職務の50%は教育プログラムの維持・向上に関連した活動を行う時間として確保されています。フェローはAttendingになる前段階として呼吸器コンサルトやICUローテーションではレジデント・医学生の指導をするのを通して医学教育の経験を積むことが期待されています。また、Fellowship 1年目から診療科内でのカンファレンスで様々なトピックを選んで30分~60分のプレゼンテーションをしたり、レジデントや医学生へのレクチャーの仕事が回ってきたりします。カンファレンスへの出席も多くは必須となっており、週のうち数時間はカンファレンスを聞いて過ごしています。大人数のカンファレンスでは特にZoomが便利なので、これからも使われ続けるのではないかと思います。

これだけだと臨床能力が落ちるのではないかという懸念がありましたが、実際は外来患者の問い合わせに対応したり、週末のICUシフトをカバーしたりするので臨床から完全に離れることはなく、診療レベルは維持できていると感じています。

San Franciscoで一風堂を発見したので、いただいてきました。カンファレンス等で大都市に行くときは当地の日本食レストランを訪れるのが楽しみの一つです。

著者