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Dr. Maedaの呼吸器集中治療科フェロー シップの記録 (31)

講座だより

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Dr. Maedaの呼吸器集中治療科フェローシップの記録 (31)

1/2023

「Board Certification / Medical License」

2022年11月は米国呼吸器内科専門医試験 (Pulmonary Medicine Board Certification Exam) でした。240問を1日で解くのは結構な重労働でしたが、合格していることを祈っています。アメリカで専門医として働くには専門医資格自体は必須ではありませんが、合格していないと就職等で不利になるものと思います(日本でも似たようなものだと思いますが…)。今回はこれに関連して米国での医師免許・専門医資格について簡単にまとめてみたいと思います。

まずは以前にも触れましたが、USMLE (United States Medical Licensing Examination) が日本の医師国家試験に相当する試験であり、米国の医学生は2年目に基礎医学の試験であるSTEP 1、3-4年目に臨床医学中心のSTEP 2 CK (Clinical Knowledge) に合格していないと基本的にResidencyに進めません。そしてMD/DO degree取得後、Residencyが落ち着いたころに臨床症例のシミュレーションを含むSTEP 3を受験します。IMG (International Medical Graduates) は試験自体に関しては時間の縛りはありませんが、STEP1, STEP 2 CKに加えて英語能力の試験であるOccupational English Test (OET) に合格し、その他医学部に関する条件を満たすことでECFMG (Educational Commission for Foreign Medical Graduates) Certificateを取得することが米国で臨床医として働く必要条件となっており、その後STEP 3を受験します。ここ数年でSTEP 1は点数制でなくPass / Failでの判定となり、OSCEのような実技試験であるSTEP 2 CS (Clinical Skills) は終了となりました。

STEP 3まで合格したら医師免許相当となりますが、Residencyの間は研修プログラムがLimited license (研修医としての活動をカバーする仮免許) を提供している場合が多いと思います (州によって規定が違います)。指導医として働くためにはFull Licenseが必要なため、出身医学部からの卒業証明書、成績票、USMLEのScore Report, ECFMG Certificate、Residency Programからの研修証明書など、書類を集めて州の担当部署に提出します。New York州では、米国医学部出身者は1年以上の卒後経験が、IMGは3年以上の米国での経験が必要となっています。私も2020年夏にCOVID第1波が落ち着いてFellowshipに移ったぐらいに州医師免許を受領したのを覚えています。お気づきのように医師免許は州ごとのため、別の州に職場を移る際には新たに申請しなければなりません。州によって異なりますが1-3年毎に更新もあります。

次は専門医試験です。どの診療科もだいたい年に1回試験があり、Internal Medicine (内科) では各種学会とは独立した機関であるABIM (American Board of Internal Medicine) が作成する試験に合格する必要があります。Residency Programを卒業した年の8月に受験になります。私は2020年8月、ACP (American College of Physicians) が作成している問題集MKSAPをやりこみ、引っ越し、新しい施設でのICU勤務、COVID pandemicと色々あってわけの分からないまま受験になりましたが、無事に合格していました。Subspecialty Board Examは11月にあり、Pulmonary Diseases (呼吸器内科) はFellowship 3年目、Critical Care Medicine (集中治療科) は卒業したあとに受験することが通例になっています。いずれの試験も10年毎にMOC (maintenance of certification) Examというのがあり、要は専門医資格の更新には試験に再度合格する必要があります。米国のほうがこうした資格認定・維持は規定が厳格と感じますが、間違いなく勉強するモチベーションを保つのには一役買っています。

 

参考:

USMLE: https://www.usmle.org/
ECFMG: https://ecfmg.org/certification/index.html
New York State Education Department: https://www.op.nysed.gov/physicians
ABIM: https://www.abim.org/

 

雪が本格化する前に満を持して(?) Niagara Fallsに日帰り旅行に行ってきました。アメリカ側からも見えますが、カナダ側からの方が圧倒的に眺めがよかったです。陸路で越境というのは初めてでしたが、Rochesterからは車で90分ほどで、ビザさえ期限内なら結構気軽に行けます。チャンスがあればTorontoまでも行ってみたいところです。

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