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呼吸器・集中治療医Dr. Maedaの武者修行 in Alabama

講座だより

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呼吸器・集中治療医Dr. Maedaの武者修行 in Alabama

9/2023

「Moving to the Deep South」

Fellowshipを無事修了し、8月15日付でUAB (University of Alabama at Birmingham: アラバマ大学バーミングハム校) での勤務を開始しました。これまで都合9年間研修医(ResidentあるいはFellow)として日米合計5つの施設で働いてきましたが、これからはAttending Physician (指導医) として医学生や研修医の指導を行いつつ、患者診療の全責任をとる立場となります。また、病院勤務医という立場に加え大学教員として二重雇用されている形になります。大学での職位としてはAssistant Professorを拝命しており、これから新しい研究についても模索していかなくてはなりません。不安と期待が入り混じる入職直後の期間(これももう6回目です)を過ごしているわけですが、患者診療の許可を受けるためには大量の事務仕事やレクチャーの受講が必要となっており、それを見越してか臨床ローテーションは10月までは組まれていません。割と時間的には余裕があるようですが、Fellowship中のプロジェクトの論文投稿とか、集中治療専門医試験(11月)の勉強などもしないといけないので、時間を無駄にしないように心がけて過ごしています。

そんなわけで新しい施設での臨床についてはまだ書けることもないので、大変だったRochesterからBirminghamへの引っ越しについて書こうかと思います。ビザについての詳細はまた改めていつか書こうと思いますが、ビザの切り替え(J1→O1)のために米国外に出る必要があり、かつO1ビザとしての雇用開始の10日前までは米国に再入国できませんでした。これに長女のElementary Schoolの予定と、雇用先のない期間(7月いっぱいと8月上旬)には医療保険がなくなるのでできるだけ滞在したくないという事情もあり、予定の調整にとても気を遣いました。結局、Rochesterの学校が終わった2日後に引っ越し業者とBirmingham行の飛行機を手配し、またその前後で自家用車2台の搬送も業者に頼みました。車での移動も考えましたが、RochesterからBirminghamまでは1000マイルほどあり、高速を15時間走り続けてやっと着く距離で、子供3人と妻、手伝いに来てくれていた母を連れて運転していくのは現実的ではありませんでした(結果的にはそのほうがよかったような気がしますが…)。引っ越しの約1週間後、7月2日に日本へ帰国、8月6日に再入国の予定で国際線の飛行機も手配しました。帰国中の在大阪米国領事館でのビザの面接の予約や、”逆” 海外医療保険やPocket WiFiなどの準備も必要でした。引っ越し先が決まったのは5月下旬だったので全てを短期間にやらないといけなかったのも大変でした。

引っ越し業者が去った後、夕方の飛行機で現地入りしホテルで待つ予定だったのですが、NY州に嵐が来たためRochester→North Carolina州Charlotte間の飛行機に遅延が発生し乗り継ぎが不可能になりました。こういう場合は航空会社に連絡して振り替えを頼むのですが、翌日で5席を確保するのは至難の業です。しょうがないので急遽翌日と翌々日の便に分けて隣町のBaffaloから向かう予定にしたのですが、またもや嵐のためキャンセル、振り替え便は3日後までないという事態になりました。Baffaloのホテルで途方にくれましたが、車と引っ越しの荷物は既にBirminghamに着いており、なんとかして移動しなければいけません。アメリカン航空の電話口のエージェントと散々知恵を絞った挙句、さらに3時間離れたOhio州Clevelandから出る便が奇跡的に予約できました。車の鍵と引っ越しの荷物の受け取りを現地にいる知人に託し、タクシーで3時間移動して、Clevelandから出る飛行機に乗り込んだところでなんとまた嵐がやってきました。Charlotte空港での乗り継ぎ時間はもともと約30分程度しかなく、絶望しかけましたがなんと嵐がすぐにやみ、10分程度の遅れで到着することができました。着いた空港で猛ダッシュし、搭乗終了間際(というより既に”Flight Closed”に変わっていました)に家族で搭乗口にたどり着き奇跡的に搭乗できました。着いたあとは車を置いていてくれたTruck StopにUberで向かい、空港に戻って妻と子供達をホテルに搬送、もう一度Uberで2台目の車を回収し、1つ後の便で無事にBirminghamに着いた母を空港に迎えに行きました。新居での1週間は水道の開栓や車両登録などの手続きであっという間に終わり、飛行機を3つ乗り継いで伊丹空港まで帰ってきました(Rochesterでもそうでしたが、日本への直行便がないため乗り換えも含めると出発空港から到着空港までで24時間程度はかかります)。結果的には人・車・荷物全て問題なく移動できましたが、当分引っ越しはしたくないと思いました。

UAB Hospitalはベッド1207床を擁する巨大な大学病院で、これは米国で8番目ということです(https://www.uab.edu/news/health/item/12492-uab-hospital-now-eighth-largest-in-the-nation)。近くにUABのキャンパス、VA Hospital (退役軍人病院), 関連病院であるUAB Hospital-Highlands, 小児病院のChildren’s of Alabamaもあるので、Birmingham Downtownのかなりの面積を占めています。

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