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京大病院新病棟にヘリポートが完成!! 

講座だより

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京大病院新病棟にヘリポートが完成!!

平成27年12月18日(金)午後13〜15時にかけて、京都大学医学部附属病院では新病棟(南病棟)のヘリポート完成に伴い、「マスコミの記者への説明」「ヘリポートの見学」「京都市消防局による救急ヘリの離発着訓練」「患者搬送訓練」を実施しました。

 京大病院では将来構想として高度救急救命の充実を方針としています。今回の新病棟整備においても、救急部病棟の増床新設、中央診療棟における急性期脳卒中に対応するstroke care unit病棟の新設、産科救急に対応するMFICUの新設など、設備面においても救急医療の充実が図られています。
このたび新設されたヘリポートも、京大病院の救急医療体制の充実に大きな力となります。京大病院でしか受けられない高度な救急医療を、患者さんは遠隔地からでも短時間で容易に受けられるようになります。ヘリポートがオープンすると、脳卒中、心筋梗塞などの救急疾患のみならず、不慮の事故による患者さんも搬送対象となります。これまでは、一旦近隣の病院に搬送され、専門的な治療を行うために京大病院へ転院する必要のある患者さんがいた場合も、一度、京都府立医科大学病院の屋上ヘリポートに到着し、 そこから救急車に乗り換えて京大病院に転送していました。京大病院のヘリポート運用が始まると、搬送時間が大幅に短縮されるのみならず、多施設間の煩雑な事前交渉も不要となるため、治療開始時間は大幅に早まることになります。

 また、大規模災害発生時にもヘリポートは活躍します。1995年の阪神淡路大震の経験から、我々は災害時にヘリコプターの積極的活用が不可欠であるという教訓を得ました。そして 2011 年の東日本大震災では、ヘリコプターが全国から現地に参集し、太平洋沿岸からの患者搬送に貢献しました。この先、南海トラフ巨大地震とそれに伴う津波の発生も危惧され、関西の太平洋沿岸地域では大きな被害が予想されています。京大病院が遠隔地から被災者を受け入れる際にも、今回のヘリポートが重要な役割を果たします。

 その他、移植医療に伴う臓器搬送でも大きな役割が期待されています。京都大学はこれまで1700例を越える肝臓移植、110例を越える肺移植を実施し、生体移植では日本最多、脳死移植では 2番目に多い症例数です。臓器移植では一刻も早い臓器の搬送が必要ですが、これからは今まで以上に迅速な臓器移植が行えるようになります。京大病院から他院へ臓器提供を行う場合にも、ヘリポートが円滑な臓器移送に役立ちます。

京大病院では、今後発生する様々な救急医療に対して可能な限り対応していきたいと考えています。

(文責:小池 薫)

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