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Dr. Hiraoのハワイ奮戦記(3)

講座だより

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Dr. Hiraoのハワイ奮戦記(3)

今回はハワイ大学での外来のローテーションについて書かせていただきます。

ハワイでの外来研修は年間4週間のローテーションが2回と毎週1回平日の午後にあります。週1回の外来はContinuity clinicと呼ばれており、病棟の入院患者を担当するローテーションの際にも外来の仕事をしないといけないのでかなり大変です。また外来ローテーションの間の2週間に1回は金曜日の夜に病棟の夜勤のカバーに入りますが、それ以外は週末が両方休みなので有難いです。

主な診療内容は慢性疾患の管理と予防医療です。予防医療については患者さんのカルテを開けるとUnited States Preventive Services(USPSTF)に基づいたスクリーニング検査を受けているかなどが自動的に出てきます。例えば45歳以上では大腸がんのスクリーニングが必要となりますが患者さんがまだ受けていなければ、大腸内視鏡検査のため消化器内科の予約を取ることとなります。また大学病院の外来にくる患者層はUnderserved population(金銭などの理由で十分なサービスを受けていない)が多く、多疾患を抱えている患者さんが多いです。予約はしているが病院にこない患者さんも多いです。

特に糖尿病の有病率はかなり高い印象です。私の経験では日本ではHbA1Cが10%を超える患者さんは月に数回見る程度でしたが、こちらでは1日に数回そういった患者さんに出会います。肥満の患者さんも多く、BMIが100を超える場合もありました。インスリン抵抗性も高く、使用しているインスリンもグラルギン80単位など、日本にいた時には考えられないような量を使っていることも少なくありません。日本ではDPP4阻害薬のみ入っている患者さんをよく見ますが、こちらでは第一選択薬はメトホルミンで殆どの患者さんはASCVD(動脈硬化性心血管疾患)や心不全があるためGLP-1 RAやSGLT-2阻害薬が投与されています。またインスリンを何十単位も必要な症例などは糖尿病専門が外来もあるため、そちらに紹介しますが基本的には自分たちで管理することとなるので、糖尿病を含め大体の慢性疾患の管理もできるようになります。

外来のローテーションの際には診療時間は9時から5時の間でおおよそ10人程度毎日予約が入っています。ローテーションが開始した際には1時間に1人予約でしたが、徐々に増えていき30分に一人の間隔で診察することとなります。またこちらに来て改めて思うことは教育が文化として根付いているところです。日本では特に大学病院の外来はとにかく忙しく沢山の患者さんを診ないといけないため、上級医の先生がなかなか若手の先生に教育する時間はない印象でした。アメリカでは研修医がまず最初に患者さんを診察しにいき、上級医にプレゼンしその後にまたその上級医と診察にいきその後フィードバックをしてもらいます。Shared decision-makingという患者さんと医師が相談して治療方針を決め方など、聞いているだけで勉強になります。また9時に診療が始まる前やランチタイムには上級医の先生がほぼ毎日レクチャーをしてくれるので、系統的にも外来診療の知識が身に付きます。

オアフ島の東側にあるラニカイビーチ。車で30分も走ればリゾートビーチに行けるのもハワイの良いところです。

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