About

呼吸器・集中治療医Dr. Maedaの武者修行 in Alabama(5)

講座だより

Tap here to navigate

呼吸器・集中治療医Dr. Maedaの武者修行 in Alabama(5)

1/2024

「Highlands ICU」

12月初めの土曜から翌週の金曜日まで、関連病院であるUAB Hospital – Highlands (以下、”Highlands”) のICU、次の週末を挟んでUAB本院のICU Night Float / MET (medical emergency team) のローテーションを行いました。ICUの週は週末までシフトが入っていることが多く(7連勤)、さらに翌週も続けて働く(12連勤)パターンもざらです。今回はHighlands ICUが最も印象に残ったので振り返りがてらどういう働き方をしていたのかをご紹介したいと思います。

HighlandsはUAB Hospital本院から車で10分弱、Birmingham市内の南側の少し外れたところにある220床程度の病院で、Family Medicine (家庭医療科) , Geriatrics (老年内科) やOrthopedics (整形外科) に力を入れており住み分けがある程度できあがっています。Sleep Medicine (睡眠医学) もこちらに集約されており、よく患者をSleep Study目的に紹介します。ICUは全科共用で12床のClosed ICUで、AttendingとAPP (Physician Assistant / Nurse Practitioner) はUAB本院のMICUでも働いている中からローテーションが組まれています。Attendingの仕事は朝のICU回診でAPPとその日の方針を決定・共有し、カルテ記載をすること、緊急事態に適宜対応することです(APPは慣れているのでたいていのことはやってくれますが、挿管・気管支鏡などはできないことになっています)。夕方も簡易的に回診をして夜にトラブルのないようにします。また、数は少な目ですが一般呼吸器内科コンサルトも受けます。17時以降はtele-ICUのAttendingがカバーしており、必要に応じて呼ばれて各部屋のスクリーンを通してアドバイスをするという形で対応しています。小規模な病院なので何でもできるわけではなく、UAB Hospital本院に転送になることも多かったです。具体的には、心臓カテーテル検査や、IP (interventional pulmonary), cardiac surgery, neurosurgeryの診療が必要な症例では基本的に転送になります。私が担当した週は、気管支閉塞に伴う肺炎の患者をIP consult / 気管支鏡目的に本院に転送しました(癌の可能性もあったためIPに依頼しましたが、結果的にはピーナッツの誤嚥でした)。一方、比較的軽症なICU患者(DKAやBiPAPが必要なCOPD増悪など)は本院の救急外来から逆に転送されてくることもあります。

一応7-17時の間は院内にいることになっていますが、外来や会議などを午後に入れてもOKということになっており比較的ゆるいと聞いていました。しかし、Flu seasonだからなのか患者数は常に10-12人の間を推移しており、呼吸器内科コンサルトも1日1件程度あり、思っていたよりはだいぶ忙しかったです。最終日の金曜は午前中にせん妄の患者が暴れてFoleyを抜去して出血したと思ったら、MET (medical emergency team) callの患者が急性呼吸不全・ショックでICUに搬入されてきていきなりEpinephrine静注を入れつつ挿管したり、色々ある中なんとか回診を時間内に終えました。急いでカフェテリアで食事をとり、午後はUAB本院に呼吸器内科外来をするために移動し、終了後また運転して戻って夕方の回診、やり残していた気管切開チューブの交換を終わらせてからICUのカルテ記載をして夜8時半ぐらいになりました。外来のカルテは翌日土曜の夜になんとか書き終わりましたが、もっと効率よくカルテ記載ができるようにしないとすぐに時間がなくなってしまうのでなんとかしたいと思いました。Attendingになっても臨床で学ぶことは日々多いです。

Birminghamに隣接するVestavia Hills市には自由の女神のレプリカがあります。1/5 サイズですが、NYCにいた頃を思い出して懐かしくなりました。

著者