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Dr Maedaのニューヨーク奮戦記(18)

講座だより

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Dr Maedaのニューヨーク奮戦記(18)

2/2019
「Preventive Medicine② – 生活習慣病のスクリーニング」

前回に続いて普段の外来でやっていることについて書いてみます。いわゆる健康診断的な仕事です。
喫煙・飲酒・薬物・性交渉歴は初診時に把握しておく必要があります。喫煙者には禁煙を勧めるカウンセリングをし、患者さんのreadinessに応じて薬物療法を考慮します。ニコチンパッチ+ガムによるNRT (nicotine replacement therapy) が多いですが、varenicline (Chantix) やBupropion (Wellbutrin) を使う場合もあります。アルコール依存症の人はあまり外来には来ませんが、精神療法や薬物療法(naltrexone, acamprosateなど)を考慮します。薬物濫用は大きな問題ですが、基本的に一般外来では対応していません。オピオイドに関してはMMTP(methadone maintenance treatment program)というプログラムがあり、患者さんは毎朝methadone clinicにやってきて1日分のmethadone(長時間作用型オピオイド)をもらって服用しています。Buprenorphine (Suboxone) も同様の目的で使われることがあります。
性行為感染症に関してですが、HIVの検査は拒否されない限り全員に1回は行うことが望ましいとされています。またRPR、Chlamydia (クラミジア) / Gonorrhea (淋病) の尿検査もすすめます。ハイリスクな人ではPrEP (Pre-exposure prophylaxis) を考慮します。具体的にはemtricitabine-tenofovir DF (Truvada) を毎日服用することでHIVの感染を防ぐというコンセプトです。HIV陽性の人、LGBT(Lesbian, Gay, Bisexual, Transgender)の人は日本と比べてとても多い印象でありHIVはCommon Diseaseです。
より馴染みの深い生活習慣病のスクリーニングももちろん行います。身長・体重・バイタルサインは毎回測定してくれるので、肥満・高血圧症のスクリーニングを毎回行っていることになります。糖尿病のスクリーニングとして、40歳以上または肥満で血糖値・HbA1Cを測定し、いわゆるprediabetes (HbA1C 5.7-6.4%) では1年毎、正常では3年毎を目安にスクリーニングを繰り返します。脂質異常症のスクリーニングとしてlipid panel (triglyceride + cholesterol) を測定し、スタチンの必要性はASCVD (atherosclerotic cardiovascular disease) 10-year riskを計算して判断します。
65-75歳の男性で喫煙歴がある場合、腹部超音波検査でAAA (腹部大動脈瘤) のスクリーニングを1回おこなうことがすすめられています。また、閉経後女性では65歳、男性では70歳でDEXA (dual-energy X-ray absorptiometry) を行って骨粗鬆症のスクリーニングを行います。

SCCM (米国集中治療学会) のためにCalifornia州はSan Diegoに来ています。京大病院での症例を発表させていただきました。ご指導いただいた先生方、ありがとうございました。

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