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Dr Maedaのニューヨーク奮戦記(33)

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Dr Maedaのニューヨーク奮戦記(33)

5/2020
「COVID-19 in NYC②」

5月になり、ようやくNYCでのCOVID-19の流行も収まってきています。州全体、NYC全体でみても、勤務先の患者数にしてもかなり改善しました。約6週間ICU勤務をしていましたが、4月は4倍増したICU・NIV / HFNCが必要な患者を入院させるために新設されたStep Down Unitに患者が溢れかえっていましたが、新規入院が減少するにしたがって患者数は大きく減少しました。ICUではSevere ARDSで長期挿管している患者が多く筋弛緩薬であるCisatracuriumや腹臥位換気、吸入Nitric Oxide (一酸化窒素) などを駆使し治療を行っており、死亡率は高いですが一定数の患者が気管切開・PEGを行いLTACH (long term acute care hospital) でのweaningにつなげるところまで至っています。COVID-19自体の治療としては、Hydroxychloroquine, Azithromycinは有効性が乏しいため現在は投与しておらず、基本的には対症療法と抗凝固療法、ステロイドやTocilizumab, 場合によってはConvalescent Plasma (回復した患者の血漿), Remdesivir などの臨床試験に組み込んでいます。Zoomを用いた患者・家族とのミーティングにも違和感がなくなり、色々な意味で皆がCOVID-19の診療に慣れたと思います。現在はICUは平常時の2倍以下となり、Step Down Unitの臨時チームも解散し通常の病棟ローテーションに戻ることになりました。

 

やはりSocial Distancingや手洗い、マスクなどの予防策は重要と感じています。Nonessential Workerの出勤停止・不要不急の外出自粛を命じた州知事令である”New York State on PAUSE”は3月下旬に発令され、NYCでは5月28日まで延長されることになりました。NY州は検査能力(PCR・抗体検査)・追跡能力の拡充をしながら徐々に経済回復のためビジネスを再開させていく流れのようで、Upstate (NYCと周辺を除くエリア) では既に始まっています。ランダムに行われた抗体検査ではNYCの10-20%程度に抗体があるようですが、これが今後の感染を防いでくれるものなのかは今後の研究を待たなければなりません。また学校も9月の新年度まではオンライン授業のようです。ただ、街はまだロックダウン状態ではありますが、全く人がいなかった4月の状況とは変わって、よい天気の日には特に以前と変わらないぐらい人が出ているので少し心配です。

 

来月でいよいよResidencyも卒業し、7月からはUniversity of Rochesterでの呼吸器・集中治療科のFellowshipがスタートする予定です。卒業式はZoomで行われる予定で、引っ越しや退職・入職手続きなど非常にバタバタしそうです。一般内科をするのはこれが最後かもしれないので日々の臨床も手を抜かずがんばろうと思います。

 

近くの川沿いの広場ではこんな感じでけっこう人がいました。第2波が来る可能性は十分あるので、皆が気を付けてくれるとよいのですが…。

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