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Dr. Maedaの呼吸器集中治療科フェローシップの記録 (1)

講座だより

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Dr. Maedaの呼吸器集中治療科フェローシップの記録 (1)

7/2020

「Pulmonary and Critical Care Medicine Fellowship」

6月でMount Sinai Beth Israelでの研修が修了し、ついにPulmonary and Critical Care Medicine (PCCM – 呼吸器・集中治療科) Fellowshipがスタートします。場所はNew York州第3の都市、RochesterにあるUniversity of Rochester Medical Center(URMC) です。University of Rochesterは1850年からある大学で、光学をはじめとして各分野で研究がさかんに行われています。日本人では2002年にノーベル物理学賞を受賞した小柴昌俊氏がPhDを取得しています。
PulmonaryとCritical Care Medicineは別々の分野ですが、アメリカでは歴史的に呼吸器内科医が集中治療を行っていたことから、現在でも多くの施設で診療部として一緒になっています。FellowshipはPulmonaryのみ、Critical Care Medicine (CCM) のみ、両方をやるPCCMがあります。Pulmonaryは内科Residency修了者のみが対象ですがCCMは内科系、外科系、救急科、麻酔科と間口がより広くなっています。PulmonaryとCCMはそれぞれ2年間ですが、PCCMは3年間で両方の専門医を取得することができるので、内科Residencyを修了した者はPCCMに進むケースが多くなっています。FellowshipプログラムはResidency同様Accredited Council of Graduate Medical Education (ACGME – 日本でいうところの専門医機構) の要件を満たすようなカリキュラムを策定し、Fellowに教育の機会を提供します。Residencyよりも自由度が高く、研究を重視するプログラム(主に大学病院)では、1年前後のProtected Timeが研究(基礎・臨床・トランスレーショナル)のために確保されていることが多いのに対し、臨床重視のプログラムでは3か月~半年程度のことが多いです。American Thoracic Society (ATS), American College of Chest Physician (ACCP), Society of Critical Care Medicine (SCCM) が主な学会であり、これらの年次総会での発表、peer-reviewed journalへの論文提出を研修目標にしているところが大半です。
URMC でのPCCM Fellowshipは、他の多くのプログラム同様1年目を臨床中心に過ごし、2・3年目で研究の時間が増え合計1年間のProtected Timeが与えられています。メインはいわゆる大学病院であるStrong Memorial Hospitalで、Upstate New York (New York CityとLong Island以外のこと) のなかでは移植を始め先進的医療を多く行っており遠くから来院する患者も多いようです。大都会NYCの下町を守っていたMSBIとはかなり雰囲気が違っています。Medical ICUを4か月(うちNight Floatが1か月), Surgical ICUを1か月ローテーションするのに加え、関連市中病院であるHighland HospitalのICUを2か月まわるので1年の半分以上をICUで過ごすことになります。Pulmonaryに関してはConsultが3か月、Subspecialty Clinicが1か月、Procedureが1か月、Sleepが2週間スケジュールされているのに加えて、ICUでない時は週に半日のContinuity Clinic (外来) があります。各種院内カンファレンスへの出席、発表もあります。大変ですが、一人前の専門医を目指して気持ちを新たに頑張ろうと思います。

写真はURMCの旗艦病院であるStrong Memorial Hospitalです。

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