Dr. Maedaの呼吸器集中治療科フェローシップの記録 (13)

7/2021
「Chronic Obstructive Pulmonary Disease ①inhaler therapy 」

COPD（Chronic Obstructive Pulmonary Disease: 慢性閉塞性肺疾患）は喘息と並んで、呼吸器内科医として一番よく診る疾患かもしれません。外来でもほぼ毎週1人はCOPDで半年～1年に1回の定期フォローをしている患者さんがいます。慢性に持続する呼吸困難、咳嗽、喀痰、喘鳴がありPost-bronchodilator spirometryでFEV1/FVC <0.70の場合COPDと診断します。基本的には毎年改訂されるGOLDガイドライン（GOLD-REPORT-2021-v1.1-25Nov20_WMV.pdf (goldcopd.org)）に基づいて管理を行います。今回は吸入薬に絞って書いてみようと思います。

初期治療はmMRC dyspnea scaleやCAT assessmentといった問診票で定量化される症状と、exacerbation (増悪)の回数・重症度を鑑みて決定します。症状が軽度で増悪もない場合は頓用albuterolのみでよいですが、より重症の場合は長時間作用型気管支拡張薬を導入します。だいたいの場合はLAMA (long-acting muscarinic antagonist) であるtiotropium (Spiriva Handihaler, Spiriva Respimat) やumeclidinium (Incruse Ellipta) から始めればよいですが、症状が強く増悪も多い場合はLAMA/LABA (long-acting beta-agonist)合剤であるumeclidinium / vilanterol (Anoro Ellipta), tiotropium / olodaterol (Stiolto Respimat) を選択します。ICS (inhaled corticosteroid) を単剤で使うことは基本的にありませんが、重症のCOPD増悪の既往、喘息の既往あるいは併存、好酸球増多 (>=300/µL) がある場合はLABA/ICS合剤であるbudesonide / formoterol (Symbicort HFA), fluticasone furate / vilanterol (Breo Ellipta) やfluticasone propionate / salmeterol (Advair Diskus, Airduo RespiClick, Wixela Inhub) を使用することがあります。ここまではPrimary Careで何とかしてくれている場合が多いですが、症状が重かったり増悪を繰り返す場合、入院を要した場合などは呼吸器内科紹介や退院後フォローアップになります。

増悪を繰り返す症例ではLAMA/LABA/ICSの3剤をまとめて使ういわゆるtriple therapyを使うことが多いです。IMPACT trial（PMID: 29668352）ではfluticasone furoate / umeclidinium /  vilanterol (Trelegy Ellipta) 群で上記のAnoro Ellipta, Breo Elliptaを使用した群に比較して重症の増悪や入院が有意に減少しました。同様にETHOS trial （PMID: 32579807）ではbudesonide / glycopyrrolate / formoterol (Breztri Aerosphere) 群で、glycopyrrolate / fomoterol (Bevespi Aerosphere)、Symbicort群と比較して重症の増悪が減少しました。今のところTrelegyを使っている症例が大多数で、服用も1日1回で済むので非常に使い勝手がよいです。ただし吸入力が著しく低下している患者ではDPI (dry powder inhaler: Ellipta, Diskus, Handihaler等) をうまく吸入できない懸念があるため、pMDI (pressurized metered dose inhaler: HFA, Aerosphere等) やSMI (soft mist inhaler: Respimat等) への変更を考慮します。そういった点では今後Breztriの使用が増えるかもしれません。服用にはさらに手間がかかりますが、Nebulizerを在宅に導入してbudesonide (Pulmicort) alformoterol (Brovana), albuterol / ipratropium (Duoneb) を組み合わせて使っている場合もあります。

最近の週末には子供達を連れて少し遠くまで遊びに行っています。写真はRochester郊外のWebsterというエリアの公園です。きちんと整備されていて治安も問題なく遊べるところが多いので子育てにはとてもいい環境です。