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Dr. Maedaの呼吸器集中治療科フェローシップの記録 (15)

講座だより

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Dr. Maedaの呼吸器集中治療科フェローシップの記録 (15)

9/2021
「Asthma①diagnosis and usual management」

私が呼吸器内科外来をしているMary Parkes Center for Asthma, Allergy and Pulmonary Careはその名の通りAsthma (喘息) の診療に重きを置いており、URMCには喘息の臨床・基礎研究を行っているfacultyが複数在籍しています。最近はいわゆるbiologic  (生物学的製剤) がどんどん出てきており喘息の治療は多様化しています。基本的にはGINAガイドライン(GINA Full Report 2021 Front Cover ONLY (ginasthma.org))に基づいて診療を行います。
まず診断ですが、咳嗽、喘鳴、呼吸困難などの症状がありairflow reversibilityがあれば喘息と診断します。具体的には、Post-bronchodilator SpirometryでFEV1あるいはFVCが12%かつ200mL以上増加したり、異なる時点でのPFTでFEV1が有意に変動していればairflow reversibilityありと判断します。通常のPFTで確定できない場合はmethacholine challenge test などの負荷試験を行い、airway hyperresponsivenessの評価を行い喘息らしさを総合的に判断する必要があります。
初期治療ですが、2018年のSYGMA trial (PMID: 29768149 / 29768147) に基づきGINAはbudesonide / formoterol (Symbicort) でcontrollerとrelieverの両方を兼ねるMART (maintenance and reliever therapy) を軽症例から推奨するようになりました。これらの試験では頓用SABA (short-acting beta-agonist) のみ、あるいはSymbicort常用 (1日2回) と頓用Symbicortを比較して喘息発作の頻度および吸入ステロイドの使用量を比較して頓用Symbicortの有用性が示されました。Symbicortが保険でカバーされない場合はこれは使えないので従前のStep up therapyを行うことになります。たまに発作が起こる程度のmild asthmaでは頓用SABA、週2回以上の発作が起こるmoderate asthmaではICS (inhaled corticosteroid) をcontrollerとして常用し、発作時に頓用SABAを使用します。さらに症状が頻回の場合はICS / LABA合剤を使用します。
治療を開始・変更した場合、だいたい3か月ぐらいごとに症状・PFTをフォローし、頻回に症状があり頓用SymbicortまたはSABAを使用している場合、可能であればICSを増量します。Medium-high dose ICS / LABAと同等あるいはより強力な治療にもかかわらずコントロールが不良な場合はいわゆるdifficult-to-treat asthmaとされ (成人喘息患者全体の17%) 、このうち吸入薬のadherenceや吸入手技に問題がないにもかかわらずコントロールがつかない場合をsevere asthma (同3.7%) といいます。呼吸器内科外来ではdifficult-to-treat asthma / severe asthmaの患者が多く、次回はその対応に絞って書きたいと思います。

 

 

5歳になる娘のパスポート更新のため、NYCの領事館に行ってきました。Covidの流行下に引っ越してから1年と少しぶりでしたが、色々思い出のある場所に行けて嬉しかったです。

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