About

Dr. Maedaの呼吸器集中治療科フェローシップの記録 (7)

講座だより

Tap here to navigate

Dr. Maedaの呼吸器集中治療科フェローシップの記録 (7)

1/2021
「Medical ICU③ ICU Procedures」

 

明けましておめでとうございます。2021年はCOVID-19が落ち着いてより良い年になることを期待しています。

12月、COVID-19がRochesterにもやってきました。Highland HospitalでのICUローテーション2周目を行ったのがちょうどその時期で、ICU対応できるベッドを14床から20床まで増やしてなんとかICUを回していましたがほぼ毎日COVID-19の入院があり忙しかったです。今回はそれに関連してアメリカの臨床研修でのProcedure (手技) について少し書こうと思います。
Critical Care Medicineでは無論、手技をマスターするのは研修の到達目標のひとつになっています。慣れていない手技を行うときはかならず監督者をつけなければいけません。手技を行った後は、研修記録を保存するウェブサイトがあるのでそこに詳細を入力します。CVC挿入やAライン、胸腔・腹腔・腰椎穿刺などについては、一応5回経験すればそれ以降1人で行ったり、他の研修生の監督をしてもよいことになっています。一方、気管挿管、気管支鏡検査、胸腔ドレーンなどは必ず指導医と一緒に行うことになっています。
気管挿管は半年で約30件行いました。ICUでは挿管患者は多いですが、救急外来ですでに挿管されている場合が多く気管挿管を実際に行う機会は意外と多くありません。ただ最近はCOVID-19の性質上、High Flow Nasal CannulaのためICU入室した患者がさらに悪化し挿管にいたるケースが多いため、毎日のようにICUで気管挿管がありました。Video Laryngoscopyで行うことが主流であり、基本的にGlidescope®を使用しています。指導医にも喉頭展開が同時に見えるため、教育的効果はDirect Laryngoscopyよりもよいようです。基本的にRapid Sequence Intubationを行うので、導入薬としてはEtomidateあるいはKetamine、筋弛緩薬としてSuccinylcholineあるいはRocuroniumを使用します。Etomidateは日本では使われていませんが、速効性の麻酔導入薬で血行動態に及ぼす影響が少ないため非常に使いやすいです。Ketamineはあまり使いませんが、ショックやDifficult Airwayの症例では便利です。ただしDifficult Airway の症例では麻酔科・耳鼻咽喉科を含めたDART (Difficult Airway Response Team) が呼ばれるため自分で挿管することにはならないことが多く少しもったいないと思っています。施設によっては気管挿管は集中治療医は行わず、全て麻酔科という場合もあるようなので、だいぶ経験はできているほうだと思いますが…。
CVC挿入は約40件、Aラインは約30件経験し、だいぶスムーズになりました。実際の手技よりは物品の準備や患者のポジショニングなどが速くできるようになったからだと思います。安全の面から、CVC・Aラインとも基本的に超音波ガイド下で行うことが主流で、できるだけ内頸静脈・橈骨動脈を選択しますが、時間的に切迫している場合は大腿動・静脈にまとめて入れてしまいます。肥満等で難しい場合の奥の手として腋窩動脈も数回やりました。
当然ですが内科レジデンシーのときよりも圧倒的に手技の数がこなせるようになり、だいぶ慣れてきましたが、日本での研修と比べるとまだまだなのでアグレッシブにやっていこうと思います。

Holiday Seasonですがパーティーなどはなく家族でゆっくり過ごしました(クリスマスは仕事でしたが…)。外来をしているMary Parkes Centerからはワインをいただきました。

著者