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呼吸器・集中治療医Dr. Maedaの武者修行 in Alabama(7)

講座だより

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呼吸器・集中治療医Dr. Maedaの武者修行 in Alabama(7)

3/2024

「Pulmonary Function Test② Lung Volumes」

前回に続き、PFT (pulmonary function test: 呼吸機能検査) についてです。UABでは呼吸器内科一般外来に新しく受診する患者は基本的にComplete Profile (spirometry, lung volumes and diffusing capacity) を診察前に受けることになっており、臨床的に有用なデータが得られることが多く気に入っています。多少無駄もありますが、診察後にPFTをオーダーして患者・家族に何度も来院してもらうよりはましだと思っています(車で4-5時間離れた別の街やFlorida、Mississippiなど隣の州から紹介されてくる患者もいます)。

Lung volumesで臨床的に重要なのはTLC (total lung capacity: 総肺活量) とRV (residual volume: 残気量) で、TLC = RV + VC (vital capacity: 肺気量) です。SpirometryではVCとその分画であるIRV (inspiratory reserve volume: 予備吸気量), TV (tidal volume: 1回換気量), ERV (expiratory reserve volume: 予備呼気量) は測定できますが、RVを測定することができないため追加の検査が必要となります。①100%酸素を吸入後に呼気の窒素濃度の減衰からFRC (functional reserve capacity: 機能的残気量) を算出するnitrogen washout、②微量のheliumを含む気体を吸入後に呼気中のhelium濃度からFRCを算出するhelium dilution、③箱の中に入って呼吸し、呼気容積と気道内圧の変化からBoyleの法則(体積と圧力の積が一定であること)によりTGV (thoracic gas volume: FRCとだいたい一致) を算出するbody plethysmography (“Body Box”) があります。いずれの測定法でもFRCが得られ、FRC = RV + ERVであるため、RVとTLCを算出することができます。(PMID: 37500112)

UABでは通常nitrogen washoutを使用していますが、URMCではhelium dilutionが主流でした。Body Boxの方が大掛かりでコストが高いのと、閉所恐怖症の患者だと使いにくいという欠点があるので頻度は少ないですが、COPDなど閉塞性肺疾患ではair trappingにより①②の測定法だとTLCが過小評価されやすいと考えられており、結果の信頼性が微妙な場合は③で測定しなおすことがあります。Endobronchial valveなどの術前評価にもBody Boxを基本的に用います。TLCが80% predicted未満だとrestrictive lung disease (拘束性肺疾患), 120%以上だとhyperinflation (過膨張)、RVやRV/TLCが120%以上だとair trappingがあると解釈します。Restrictive lung diseaseをみる機会はけっこう多く、Obesity (肥満) によると思われる場合も多いですが、もちろんILD (interstitial lung disease: 間質性肺疾患)、胸膜疾患や神経筋疾患も考えて画像検査などを行うことが多いです。

NYCでよく行っていたShake ShackというハンバーガーレストランがBirmingham郊外にもあります。マッシュルームでチーズを包んでフライしたものが入っているShroom Burgerが特に気に入っています。日本にも進出していて烏丸や梅田にも店舗があるようです。

 

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